2019年6月21日、ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所は、米国知財セミナー「米国特許の域外適用:日本企業の特許実務に対する影響」を開催いたしました。
講師には、慶應義塾大学大学院法務研究科及びワシントン大学ロースクール他国内外の有数の大学で教鞭を執られる一方、シアトルの法律事務所Seed IP Law Groupで特許権利取得・行使実務にも携わる竹中俊子先生と、ワシントン大学ロースクール非常勤講師であり大手法律事務所のドーシー・アンド・ホイットニー法律事務所(Dorey & Whitney)の知財訴訟部門の責任者であるポール T. マイクルジョン(Paul T. Meiklejohn)米国弁護士をお招きしました。
近年、米国では、域外適用を積極的に認める傾向が高まっています。昨年、米国最高裁は、米国から特許製品の一部を英国に送った被告の行為によって生じた全世界の損害に対し9340 万ドルの賠償を認める陪審評決を支持したケースもあります。この判例が示すように、日本で行われた行為もまた米国特許を侵害する危険が高まっています。これを回避する対策が必要である一方、損害賠償額が高い米国特許を積極的に活用するための権利取得の戦略が必要となります。
本セミナーでは、まず竹中先生が、「米国特許法における属地主義と域外適用―比較法的考察」と題した講演で、アメリカ特許法の域外適用を制限する基本理念、属地主義と域外適用、およびアメリカ特許法の直接および間接侵害に関し、ドイツや日本と比較をしながら解説してくださいました。セミナー後半は、マイクルジョン先生が、「米国特許権の直接および間接侵害」と題するプレゼンテーションを行い、直接および間接侵害の様々な判例を紹介してくださいました。また、侵害回避の対応や域外適用を活用するためのクレーム・明細書作成実務における留意点についてお話しくださいました。