ニュースレター

知財: 2018年11月号「中国特許無効審判におけるマーカッシュクレームの訂正基準について ~最高人民法院の再審事例から分かる~」

China IPニュースレター2018年11月号『中国特許無効審判におけるマーカッシュクレームの訂正基準について~最高人民法院の再審事例から分かる~』が発行されました。

 

特許法でいうマーカッシュクレームとは、一つの請求項の中に多数の変数が存在し、そしてその変数が多数の選択肢を有する、化学・医薬分野でよく使われる特殊的なクレームです。化合物がマーカッシュクレームによってクレームされている場合、一旦権利化されると、その権利範囲は作用・効果に係わり無く、これに包含されるすべての化合物にまで及び、特許権者の利益を最大化できます。このようなクレームの形式は広く活用されてきており、化学分野の出願の全体の30%以上に達していると言われています。

中国では特許審査基準においては、マーカッシュクレームの単一性( 専利審査指南2010第二部分第10章第8.1マーカッシュクレームの単一性)について規定があるが、それ以外については何も言及されていません。実務の中でマーカッシュクレームの属性(即ち、権利範囲の解釈)や無効審判における訂正方式、つまりマーカッシュクレームにおける変数の一部の選択肢を削除する訂正ができるか否やかについて、従来から実務的にも理論的にも議論されてきました(例えば、特許94115915.9の無効審決取消訴訟、特許97197460.8の無効審決取消訴訟)。

このような中で2017年12月、中国の最高人民法院により十例の創新知的財産事例2017に収録された「(2016)最高法行再第41号」の再審事件で、最高人民法院は3年に渡って慎重に審理を重ねてきた、マーカッシュクレームの訂正基準を明確にする判決を下しました。理論上の争いは依然として続いていくかもしれませんが、この判決は、従来各裁判所の判断基準が統一されていない問題を解決し、今後の類似の事件に対して指導的な意味を有することは間違いないと考えられます。

 

当該再審事件についての詳細は、こちらをご覧ください。

PDFをダウンロード>

Continue Reading

法務: 「職場におけるハラスメント」

Newsletter (2018年8月) │ 法務

米国では、#MeTooの動きが急激に広がり、ソーシャルメディアのおかげでセクシュアルハラスメントに関する認識が高まりました。日本でも#MeTooの動きは広がりを見せ、政治家や官僚がセクハラ行為の疑いで耳目を集め、マスコミ報道も増えました。また、日本政府は、安倍首相の2017年「働き方改革実行計画」の一環として、職場におけるパワーハラスメント対策を検討すべき問題であるとし、2018年3月30日には厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書が取りまとめられ、労働政策審議会でさらなる議論が行われることとされました。ハラスメントの問題は古くて新しい問題ともいえ、本ニュースレターでは、ハラスメントの定義と企業がとるべき対応策について取り上げます。

職場におけるハラスメントは、複数の形態が考えられますが、日本において昨今特に紛争になるケースが多いのは、①パワーハラスメント、②セクシュアルハラスメント、③マタニティハラスメントの3つです。

パワーハラスメントは、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」(平成24年3月15日)によれば、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいいます。具体的には、①暴行・傷害(身体的な攻撃)、②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大要求)、⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)の6つの類型が示されています。「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書においても、こうした円卓会議での概念をもとに具体的な事案の検討が行われています。

セクシュアルハラスメントについては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和四十七年法律第百十三号。その後の改正を含む)(「雇用機会均等法」)第11条に定めがあり、事業主は、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とされています。当該講じるべき必要な措置については、厚生労働省の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号。その後の改正を含む)(「セクハラ指針」)により示されています。セクシュアルハラスメントには2つの異なる類型があります。まず1つめは、「対価型セクシャルハラスメント」で、これは、従業員の意に反する性的な言動に対する労働者の対応に不利益が関連づけられているもので、従業員がその上司との性的関係を拒否したために解雇される場合等があります。2つめは「環境型セクシュアルハラスメント」で、職場において行われる従業員の意に反する性的な言動により職場環境が不快なものとなり、従業員の能力の発揮に大きな悪影響が生じることで、例えば職場にヌードポスターが貼ってあって従業員が自らの業務に集中できない、といった例があります。

マタニティハラスメントについては、雇用機会均等法弟11条の2に定めがあり、「職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とされています。当該講じるべき必要な措置については、厚生労働省の「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成28年厚生労働省告示第312号。その後の改正を含む)(「マタハラ指針」)により示されています。なお、労働基準法(昭和22年法律第49号、その後の改正を含む)および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号、その後の改正を含む)(「育児・介護休業法」)により、企業は、妊娠している従業員に対し、一定期間の休暇(出産予定日の6週間前からおよび出産日翌日から8週間の産前・産後休暇および育児休業)を与えることとされています。

職場におけるハラスメントの企業に与える影響は大きく、従業員は、職場におけるハラスメントにより、身体的・精神的苦痛を受け、企業の生産性やモラルの低下、さらには従業員の離職等の問題も生じます。ハラスメントにより従業員との間に訴訟・紛争が生じれば、企業はレピュテーションリスクにさらされ、従業員のメンタルヘルスにつながるようなハラスメントについては労働基準監督署等による調査の対象となったり、警告を受ける可能性もあります。

では、職場におけるハラスメントを防止し、これに対応するために、企業は何をすればよいのでしょうか。厚生労働省では、7つのメニューを記載した「パワーハラスメント対策導入マニュアル」やセクハラ指針・マタハラ指針等で企業が講じるべき措置を公表しており、参考になります。

まず、第一歩として、経営陣が社内ではいかなるハラスメントも許容されないと明言する強いメッセージを発するべきです。次に企業の就業規則、ハラスメント防止規程等の社内ルールの見直しを行い、労使協定を締結する等、ハラスメントの防止のために当該ルールを決定し、必要に応じて強化するべきです。社内ルールは速やかに公表し、メールやイントラネット等で周知し、また、従業員向けのトレーニング等の開催を通じて実行していくべきと考えられます。

また、企業は、全従業員向けの匿名のアンケートを定期的に実施すること等を通じて自社のハラスメントの実態を把握するとともに、新入社員に対して就業規則やハラスメントに関する社内ポリシーについての研修を行い、在職の役員や従業員に対しても定期的な研修を行うべきです。研修は、パートタイム従業員への研修や、役員・管理職向けに特化した特別研修も含めて、全社的に行うべきです。ハラスメントの事案にはパートタイム従業員が被害者となる件数も多いのが実態です。これは、従業員の中には、パートタイム従業員が正規従業員と同等の権利を有し、同様にハラスメントから保護されるべきとの認識が低い場合があることに起因しています。研修は、人事部等の社内組織または外部のアドバイザー(弁護士や産業カウンセラー等の専門家)により継続して行われることが効果的です。

上記に加え、社内外にハラスメントに関する相談窓口を設けることも重要な方策のひとつです。従業員に対しては、ハラスメントを受けまたはハラスメントを目撃したときの相談窓口が周知されます。企業は、外部相談窓口として、外部の法律事務所やアドバイザーに窓口を設置する場合もあります。従業員が相談しやすい相談窓口を設置することが重要です。企業が相談窓口を設置しないと、ハラスメントを受けた従業員は、行政機関や外部の弁護士に相談することを迫られますが、企業としてはできるだけ早期に相談を受けるほうが対策を講じやすく好ましい手段であると考えられます。

政府、従業員およびメディアによるハラスメント問題への関心が高まる中、企業もハラスメント問題に対し無関心ではいられず、職場における様々な態様のハラスメントを防止し、これに取り組むための積極的な対策を講じていく必要があります。

******************

ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所では、社内規則等に関するアドバイス、ハラスメント研修、ハラスメント調査、外部相談窓口、当局・紛争訴訟対応等のハラスメントに関連する法務アドバイスを日常的に提供しています。

 

本書において提供する情報は、あくまで一般的な情報として提供されるものであり、具体的な専門的アドバイスを提供するものではありません。具体的な事案に関するご相談には個別に対応いたしますので改めて担当(外国法事務弁護士田辺グラント)・弁護士根本鮎子))までお問い合わせください。

Continue Reading

税務:「2018年の税法改正に関して」

Newsletter (2018年7月) │ 税務

1. 法人税

(改正のポイント)

  • 所得拡大促進税制の見直し
  • 一定の条件を満たさない大法人に対する税額控除の不適用
  • 情報連携投資等促進税制の創設
  • 申告手続の電子化 

所得拡大促進税制の見直し

改正前は次の3要件をすべて満たした場合に、基準年度(12月決算法人の場合には2013年)と比較して、給与等支給額が増加した金額の10%が法人税額から控除されていました(法人税額の10%(中小企業者は20%)を限度)。

  1. 基準年度と比較して、給与等支給額が5%以上(中小企業者は3%以上)増加している
  2. 給与等支給額が前期の給与等支給額以上である
  3. 平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額から2%以上増加している(中小企業者は前期を上回る)

 

この制度が2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度においては、大法人向けと中小企業者向けに区分され、それぞれに異なる適用要件が設けられることになりました。

大法人中小企業者(*)
賃上げ要件平均給与等支給額が前期から3%以上増加していること平均給与等支給額が前期から1.5%以上増加していること
設備投資要件国内設備投資額が当期の減価償却費の総額の90%以上であること適用なし
控除額前期の給与等支給額と比較して、増加した額の15%(法人税額の20%を限度)前期の給与等支給額と比較して、増加した額の15%(法人税額の20%を限度)

(*)中小企業者とは、資本金または出資金の額が1億円以下の法人で、かつ、同一の大規模法人(資本金若しくは出資金の額が1億円を超える法人)に発行済株式又は出資の総数の2分の1以上を所有されていない法人または2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されていない法人です。

 

また、特に人材投資に積極的な法人に対しては、以下の要件を満たした場合、控除額を引き上げる制度が採用されました。

大法人中小企業者
要件教育訓練費の額が比較教育訓練費(前期及び前々期の平均)から20%以上増加していること平均給与等支給額が前期から2.5%以上増加し、かつ、

以下のいずれかの要件を満たすこと

①     当期の教育訓練費の額が前期から10%以上増加している。もしくは、

②     事業年度終了の日まで主務大臣から中小企業等経営強化法の経営力強化計画の認定を受け、かつ、その計画に従い経営力の向上が行われたものとして証明を受けていること

控除額前期の給与等支給額と比較して、増加した額の20%(法人税額の20%を限度)前期の給与等支給額と比較して、増加した額の25%(法人税額の20%を限度)

一定の条件を満たさない大法人に対する税額控除の不適用

2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度においては、以下のすべての要件に該当する大法人に対して、一定の税額控除の適用が制限されます。

  1. 所得の金額が前期の所得の金額を超えること
  2. 平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額以下であること
  3. 国内設備投資額が前期の減価償却費の総額の10%以下であること

(制限される税額控除)

  • 試験研究費の税額控除
  • 地域未来投資の税額控除
  • 情報連携投資の税額控除

情報連携投資等促進税制の創設

生産性向上特別措置法に基づく、革新的データ産業活用計画の認定を受けた青色申告法人が、その計画に従って情報連携利活用設備(ソフトウェア及びソフトウェアとともに取得する機械装置及び器具備品(試験研究用のものを除く)で取得価額の合計が5000万円以上のもの)を取得し、事業の用に供したときは、特別償却か税額控除を選択できる情報連携等投資促進税制(IoT税制)が創設されました。

 

IoT税制に基づく控除額は以下の通りです。生産性向上特別措置法の施行の日から2021年3月31日までの間に取得した情報連携利活用設備について適用されます。

税額控除特別償却
平均給与等支給額の増加が前期と比較して3%未満の場合取得価額 x 3%(法人税額の15%を限度)取得価額 x 30%
平均給与等支給額の増加が前期と比較して3%以上の場合取得価額 x 5%(法人税額の20%を限度)

申告手続の電子化

2020年4月1日以後に開始する事業年度から、内国法人である大法人(資本金の額が1億円を超える法人)は中間申告を含む法人税・消費税の申告書の提出を電子申告により行うことが義務化されます。やむを得ない事情がある場合を除き、書面での提出は無申告の扱いとなります。

2. 所得税

 

(改正のポイント)

  • 給与所得控除が一律10万円引き下げられ、上限額が195万円になります
  • 基礎控除が一律10万円引き上げられますが、合計所得が2500万円を超える場合には適用がなくなります
  • 公的年金控除が一律10万円引き下げられ(公的年金以外の所得が1000万円を超える場合には一律20万円、2000万円を超える場合には一律30万円が引き下げられます)、新たに控除額に上限が設けられました
  • 所得金額調整控除が創設されました

給与所得控除の引き下げ

2020年以降の所得税(2021年以降の住民税)から、給与所得控除の金額が一律10万円引き下げられ、上限額が195万円になります。改正後の給与所得控除の金額は以下の通りです。

(改正前、所得税、住民税共通)

給与等の収入金額給与所得控除額
180万円以下収入金額x40%(最低650,000円)
180万円超~360万円以下収入金額x30%+180,000円
360万円超~660万円以下収入金額x20%+540,000円
660万円超~1000万円以下収入金額x10%+1,200,000円
1000万円超2,200,000円

改正後、所得税、住民税共通)

給与等の収入金額給与所得控除額
162.5万円以下550,000円
162.5円超~180万円以下収入金額x40%-100,000円
180万円超~360万円以下収入金額x30%+80,000円
360万円超~660万円以下収入金額x20%+440,000円
660万円超~850万円以下収入金額x10%+1,100,000円
850万円超1,950,000円

 

基礎控除の引き上げ

2020年以降の所得税(2021年以降の住民税)から、基礎控除が一律10万円引き上げられますが、合計所得の金額が2500万円を超える場合には基礎控除の適用がなくなります。改正後の基礎控除の金額は以下の通りです。

(所得税)

合計所得金額基礎控除(改正前)基礎控除(改正後)
2400万円以下380,000円480,000円
2400万円超~2450万円以下380,000円320,000円
2450万円超~2500万円以下380,000円160,000円
2500万円超380,000円0円

(住民税)

合計所得金額基礎控除(改正前)基礎控除(改正後)
2400万円以下330,000円430,000円
2400万円超~2450万円以下330,000円290,000円
2450万円超~2500万円以下330,000円150,000円
2500万円超330,000円0円

公的年金控除の引き下げ

2020年以降の所得税(2021年以降の住民税)から、公的年金控除が一律10万円引き下げられ、新たに控除額に上限が設けられました。改正後の公的年金控除の金額は以下の通りです。

(65歳未満の場合、所得税、住民税共通)

公的年金等の収入金額(A)公的年金控除額   (改正前)公的年金控除額   (改正後*)
130万円以下700,000円600,000円
130万円超~410万円以下(A)x25%+375,000円(A)x25%+275,000円
410万円超~770万円以下(A) x 15%+785,000円(A)x15%+685,000円
770万円以超~1000万円以下(A) x5%+1,555,000円(A)x5%+1,455,000円
1000万円超1,955,000円

(*) 公的年金以外の合計所得金額が1000万円を超える場合にはそれぞれ10万円、2000万円を超える場合にはそれぞれ20万円ずつ追加で引き下げられます。

(65歳以上の場合、所得税、住民税共通)

公的年金等の収入金額(A)公的年金控除額(改正前)公的年金控除額(改正後*)
330万円以下1,200,000円1,100,000円
330万円超~410万円以下(A)x25%+375,000円(A)x25%+275,000円
410万円超~770万円以下(A) x 15%+785,000円(A)x15%+685,000円
770万円超~1000万円以下(A) x5%+1,555,000円(A)x5%+1,455,000円
1000万円超1,955,000円

(*) 公的年金以外の合計所得金額が1000万円を超える場合にはそれぞれ10万円、2000万円を超える場合にはそれぞれ20万円ずつ追加で引き下げられます。

所得金額調整控除の創設

2020年以降の所得税(2021年以降の住民税)から、その年の給与収入が850万円を越え、かつ、以下のいずれかに該当する場合には、所得調整控除額が給与所得の金額から控除されます。

  • 特別障害者に該当する者
  • 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
  • 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者

 

(所得調整控除額)

(給与等の収入金額 – 850万円)x10%(*)

(*)控除額は15万円を上限とします

3.資産税

 

(改正のポイント)

  • 外国籍の長期滞在者に対する出国後の相続税または贈与税について、納税義務の見直しが行われました

外国籍の長期居住者に対する相続税・贈与税の納税義務の見直し

長期滞在外国人(過去15年以内に国内に住所を有していた期間の合計が10年超である外国人)は出国後5年以内に行う相続・贈与については、国内・国外の財産に対して相続税・贈与税が課税されていました。

 

これについて2018年4月1日以降、国外に居住する長期滞在外国人が行う相続・贈与においては、国外財産を相続税・贈与税の課税対象から除く改正が行われました。ただし、出国後に贈与を行い、出国後2年以内に再び国内に住所を移した場合に関してはこの適用がありません。

本タックス・ニュースは改正税法等に関して一般的な概略をご紹介する目的で作成しております。個別の案件に関しては弊事務所までお問い合わせ下さい。

Continue Reading

知財: 2018年5月号「中国におけるスイス・タイプ・クレームの現状」

China IPニュースレター2018年5月号『中国におけるスイス・タイプ・クレームの現状』が発行されました。

 

中国の医薬分野においては、ある既知の化合物又は組成物が新しい効能や効果を有すると発見したとき、このような発明を保護するために、直接に「物質XがY病を予防又は治療するための使用」又は「物質Xを使用してY病を予防又は治療する方法」などの書き方では、中国特許法第二十五条の「疾病の診断と治療方法」に該当し、特許権は付与されません。このような問題を克服するために、実務上、スイス・タイプ・クレーム、即ち「物質Xの、Y病の治療薬を製造するための使用」に形式を変えることがよくあります。スイス・タイプ・クレームには、投与対象、投与形態、投与量、投与時間間隔などの特徴も組み込むことができるため、このような投与対象、投与形態、投与量、投与時間間隔などに特徴を有するスイス・タイプ・クレームの特許出願も数多く見受けられます。これらの特徴がスイス・タイプ・クレームに対して実際に限定的作用を持つか否かは、クレームの特許性判断に極めて重要なことです。

 

詳細は、こちらをご覧ください。

PDFをダウンロード>

Continue Reading

知財:2018年2月号「台湾医薬品のパテントリンケージ制度の最新動向」

Taiwan IPニュースレター2018年2月号『台湾医薬品のパテントリンケージ制度の最新動向』が発行されました。

台湾立法院(日本の国会に相当)において、2017年12月29日薬事法の部分条文改正案が通過しました。改正並びに新設された条文は全部で26条であり、本改正案により、新適応症の新薬のデータ保護及びパテントリンケージ制度が導入されました。
パテントリンケージ制度とは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を承認する際に、先発医薬品メーカーとの事前調整を求めるなど、先発医薬品の有効特許期間を考慮して、訴訟等により製品の安定供給の問題が生じることのないようにする仕組みです。
今回新設された台湾のパテントリンケージ制度は、台米間の貿易・投資枠組み協定(TIFA)と環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への加入に向けたものと位置づけられており、新薬に関する特許情報の開示と登録、ジェネリック医薬品の申請者による宣言と告知、特許権に対するチャンレンジ、ジェネリック医薬品の許可証発行の一時停止、最初に医薬品許可証を取得したジェネリック医薬品メーカーの市場独占権などについて規定されています。

台湾医薬品のパテントリンケージ制度についての詳細は、こちらをご覧ください。

 

PDFをダウンロード

Continue Reading

知財: 2017年12月号「 中国医薬品のパテントリンケージ制度の最新動向」

China IPニュースレター2017年12月号が発行されました。

 

パテントリンケージ制度とは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を承認する際に、先発医薬品メーカーとの事前調整を求めるなど、先発医薬品の有効特許期間を考慮して、訴訟等により製品の安定供給の問題が生じることのないようにする仕組みです。

中国において、2007年から施行されてきた『医薬品登録管理弁法』第18条にジェネリック医薬品の申請者が、先発医薬品に関して特許権が存在する場合、当該特許権の侵害を構成しない旨の宣言を行う義務を有すると規定されています。しかし、このような宣言を行わない場合に、どのような罰則が適用されるかについて一切言及されていません。実務上、中国国家食品医薬品監督管理総局(CFDA)は、ジェネリック医薬品の承認申請にあたって先発医薬品の特許権を侵害しているかを審査する能力を持っていないため、特許権を侵害しているか不明のまま製造承認の許可を下す可能性が高いです。

このような状況において、2017年5月12日、CFDAにより『医薬品医療機器イノベーション推奨とイノベーター権益保護に関する政策(意見募集案)』(以下、『公告第55号』という)が公布されました。医薬品パテントリンケージ制度の設立、医薬品試験データ保護制度の整備、及び関係職員による守秘義務遂行の促進と上市医薬品目録の作成という内容の『公告第55号』に対して公衆に向けパブリックコメントを募集しました。

その後、2017年10月8日、中国中央弁公庁、国務院弁公庁により『審査承認制度改革の推進と医薬品医療機器イノベーションの推奨に関する意見』(以下、『意見』という)が共同で発表され、各機関が実情に合わせて徹底的にその改革を実施するよう求めました。当該『意見』は、臨床試験管理の改革、上市審査承認の加速化、医薬品イノベーションとジェネリック医薬品発展の促進、医薬品と医療機器ライフサイクル管理の強化などを含め、計36の条項からなります。

また、2017年10月23日、CFDAにより『医薬品登録管理弁法(改正案)』(以下、『改正案』という)が公開され、公衆に向けてパブリックコメントを募集しました。当該改正案の第九十八条にはジェネリック医薬品申請者が承認申請を行う際に、特許権を侵害するか否かを確認し、特許権者に告知することが義務付けられています。

これらの法律規制が相次いで公開・頒布されたことは、中国のパテントリンケージ制度が施行されようとしていることを明確に示しています。しかし、この制度は依然不明瞭なところが多く、市場環境にあうよう調整する必要もあるため、完全に施行するまでにまだ時間がかかると思われます。

上記三つの法律規制に関し、中国医薬品のパテントリンケージ制度に係わる部分についての詳細につきましてはこちらをご覧ください。

 

PDFをダウンロード

 

Continue Reading

知財:2017年10月号「新『専利優先審査管理弁法』について」

China IPニュースレター2017年10月号が発行されました。

 

中国専利審査の平均審査期間は、特許審査においては、現状では、約22ヶ月であり、この期間は他国審査期間と比べて決して長いとは言えません。しかし、中国においては模倣品による特許侵害が深刻なため、審査時間を短縮し、早期に権利化するという必要性がますます強くなってきています。早期に権利化する方法といえば、外国出願人にとっては、特許審査ハイウェイ(PPH)を想起する人が多いと思われます。

この審査期間の短縮に関して、それ程外国企業には知られておらず、主として中国の内国民に利用されてきた『発明専利申請優先審査管理弁法』(以下、旧弁法と言う)が今般改正され、『専利優先審査管理弁法』(以下、新弁法と言う)として2017年8月1日から施行されました。その改正点及び留意点の詳細につきましては、こちらをご覧ください。

 

PDFをダウンロード

 

Continue Reading

知財:2017年8月号「中国法院知的財産司法保護状況(2016)のお知らせ」

China IPニュースレター2017年8月号が発行されました。

 

2017年4月27日に中国最高人民法院(日本における最高裁判所)は「中国法院知的財産司法保護状況(2016)」(以下、白書という)、司法による知的財産権の保護に関する10件の重要な判例及びその他の典型的な判例50件を発表しました。
当該白書から、中国における司法による知的財産権の保護の全体的な状況を把握することができ、司法による今後の知的財産権の保護の展望がうかがえます。
最高人民法院が審理した案件のうち、審理の方向性が見える専利(特許、実用新案、意匠を含む)民事案件及び専利行政案件の一部について紹介いたします。

詳細につきましてはこちらをご覧ください。

 

PDFをダウンロード

 

Continue Reading

知財:2017年3月号「色彩商標」

IPニュースレター2017年3月号が発行されました。

 

平成27年4月の商標法改正により、音、動き、位置、ホログラム、色彩といった新しいタイプの商標について登録することができるようになっています。平成29年2月20日の時点で、このような商標登録出願は全部で1494件、これらの商標登録出願のうち、音、動き、位置、ホログラムについては、これまで合計で207件が登録されていました。他方、色彩のみからなる商標についてはこれまで登録例がありませんでしたが、特許庁は平成29年3月1日に、初めて登録査定を出しました。

 

詳細につきましてはこちらをご覧ください。

PDFをダウンロード

Continue Reading

知財:2017年2月号「平均分子量-明確性要件-知財高裁判決」

IPニュースレター2017年2月号が発行されました。

 

原告Xは、ロート製薬株式会社(被告)の発明に対して、特許請求の範囲に記載されている「平均分子量」が不明確であることに基づいた明確性要件違反等を主張して特許庁に無効審判を請求しました。しかし特許庁は請求不成立(特許維持)の審決を行いました。
これを不服とした原告は知財高裁に審決取消訴訟を提起し、本件審決が取り消されました。
本件特許の対象は、特定の平均分子量を有するコンドロイチン硫酸又はその塩を含有する「眼科用清涼組成物」です。被告は2005年に特許出願し、2013年に特許権の設定登録を受けていました。

 

詳細につきましてはこちらをご覧ください。

PDFをダウンロード

Continue Reading