平成27年改正法の施行に伴い、特許出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用(以下、「拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用」という。)が変更される予定です。
また、同日付で、特許関係料金及び国際出願に係る国際調査手数料等の庁費用が改定されることとなります(以下、「料金改定」という。)。
平成27年改正法の施行日は平成28年4月1日となります。
以下に、主な改定点・変更点を説明します。
なお、単に「施行日」と記載されているものは、本改正法の施行日すなわち平成28年4月1日を意味します。
I.「拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用」について
特許庁HP:
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/kyozetu_entyou_160401.htm
(1)拒絶理由通知の応答期間内に行う期間延長請求
現行運用においては、出願人が国内居住者の場合は、合理的な理由がある場合に限って1か月のみ応答期間の延長が認められていますが、1通の請求で2か月の応答期間の延長が認められ、かつ、請求のための合理的理由は不要となります(出願人が在外者については上記URLをご参照下さい)。
また、手数料については、現行の運用の通り、1件につき2,100円であり、変更ありません(特許法等関係手数料令)。
(2)拒絶理由通知の応答期間経過後に行う期間延長請求
拒絶理由通知の応答期間経過後であっても延長可能な期間内(2か月以内)であれば、請求により期間の延長が認められます。出願人が国内居住者である場合及び在外者である場合のいずれも、1通の請求で2か月の応答期間の延長が認められます。請求のための合理的な理由は不要とします。
当該期間延長請求を行う際には、(1)の延長請求の手数料よりも高額な手数料(特許:1件につき51,000円、商標:1件につき4,200円)が必要となります(特許法等関係手数料令、商標法等関係手数料政令)。
(3)新運用の適用対象
上記(1)及び(2)の運用は、拒絶理由通知(施行日前に発せられたものを含みます。)の応答期間が施行日以後に経過する場合であって、かつ、応答期間の延長請求が施行日以後にされた場合に適用されます。
なお、拒絶査定不服審判請求後の拒絶理由通知(前置審査中のものを含む。)及び特許権の存続期間の延長登録出願の拒絶理由通知の応答期間については、現行の運用のとおりで変更はありません。
II.「料金改定」について
特許庁HP(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/fy27_ryoukinkaitei.htm)
特許関係
(1)出願料
外国語書面出願、PCT出願の国内移行手続を含め、特許出願に係る出願費用については、現行法に比べて9~10%程度引き下げられます。
(2)PCT国際出願に係る手数料
国際出願の調査手数料等を、日本語及び外国語別の料金体系別に改正されます。日本語による国際出願の場合には据え置きとなりますが、外国語による国際出願の場合には、現行法と比べて2倍程度引き上げとなります。
国際調査手数料(追加手数料を含む)については国際出願日(国際出願を受理した日)、予備審査手数料(追加手数料を含む)については当該手数料の納付日が、それぞれ、施行日以降であれば、新料金が適用されます。
(3)特許料等
基本手数料(請求項加算を除く手数料)については、現行法に比べて10%程度引き下げられます。請求項加算手数料についても、現行法に比べて、据え置き若しくは引き下げられます。
新料金については、原則として、施行日以降に納付される特許料等に適用されます。ただし、施行日以降の納付であっても旧料金が適用される場合がございます。具体的な案件に関して適用される料金については、上記URLの「2.適用の考え方」をご参照いただくか、弊所までお問い合わせ願います。
商標関係
今回の法改正に伴い、特許関係料金に加え、商標関連でも商標設定登録料及び更新登録料が改定(それぞれ、25%、20%程度引き下げ)されることとなりました。
新料金は、
(1) 設定登録料の納付期限(期間延長した場合は延長後の期限)が施行日以降に到来する出願の、施行日以降に行う設定納付(マドプロの2段階納付を含む)
(2) 更新期限(権利存続期間満了日)が施行日以降に到来する登録の、施行日以降に行う更新申請(マドプロ更新登録料納付を含む)
(3) 更新申請(分割納付)を施行日以降に行った登録の、後期分の更新登録料納付
にのみ適用されます。
ご不明な点は個別ご案内いたしますのでお気軽にお問い合わせ下さい。