取扱案件・裁判例
化学分野: 欧州の化学品メーカー(特許権者・原告)を代理して、日本のメーカー(被告)に対して、歯科用補修材に関する特許侵害訴訟を提起。被告が提起した無効審判及び審決取消訴訟においても特許権者を代理した。無効審判及び審決取消訴訟では特許権の有効性が認められたが、侵害訴訟においては、構成要件の一つが充足されないとして侵害は認定されなかった。
電気通信分野: 依頼者はLTEネットワークおけるコントロールチャンネルの割当に関する特許を日本及び主要国で保有する。この特許は標準必須特許(SEP)とはされていないが、ほとんどの電気通信会社はこの特許技術またはそれに類する技術をLTEネットワークおけるコントロールチャンネルの割当に関して採用していると言われている。ある電気通信会社がこの特許の無効審判を請求し、特許庁が特許を無効としたので、知財高裁に審決取消訴訟を提起した。争点は無効審判手続においてなした請求項の訂正が認められるか否か。知財高裁は審決取消を認めなかった。
機械分野: 日本の半導体製造会社の関連会社(特許権者・原告)を代理して、半導体チップの製造に使用する機械の構造に関する特許権に基づいて、競合他社に対して特許侵害品である機械の販売の差止及び損害賠償を求める訴訟を提起した。被告製品が原告特許の構成要件を充足することはほぼ争いがなく、争点は原告特許に無効理由があるか否かであった。被告は無効審判を請求したが棄却されたので、審決取消訴訟を提起した。被告は、無効審判とは異なり、本訴においては被告自身の公然実施による特許無効を主張した。被告が特許の有効性と特許侵害を認める実質原告勝訴の内容による裁判上の和解によって解決した。
ソフトウエア: 依頼者はスマートフォンのアプリを開発している会社であり、韓国企業がその保有するスマートフォンのアプリに関する特許3件に基づいて提起した侵害訴訟及び仮処分事件について弊所が代理した。また、弊所は、依頼者を代理して当該特許について無効審判を請求している。仮処分事件のうち一件について裁判所は、特許成立後になされた訂正について訂正要件違反として特許を無効とし、仮処分申立を却下したので、原告は他の仮処分事件を取り下げた。侵害訴訟については、被告が無効審判を取り下げるのと引き換えに原告が非侵害を認める内容で和解が成立した。
化粧品分野: 不正競争防止法の案件として以下に紹介する案件の関連案件。日本の個人(特許権者・原告)が欧州の化粧品会社(被告)に対して提起した化粧品容器の構造に関する特許権侵害訴訟において被告を代理し、かつ欧州の化粧品会社を代理して無効審判・審決取消訴訟を提起した。争点は原告の先使用権の成否及び冒認出願による特許無効。特許権を無効とすることはできなかったが、被告の先使用権が認められて特許権侵害は否定され原告の請求は棄却された。
不正競争防止法(虚偽の風説の流布):欧州の化粧品会社(原告)を代理して、同社が化粧品容器の構造に関する特許権を侵害しているという虚偽の風説を流布する日本の小企業(特許権者・被告)に対して、特許権侵害の不存在確認訴訟、不正競争防止法に基づく虚偽の風説の流布の差止及び損害賠償請求訴訟、及び無効審判・審決取消訴訟を提起した。特許権を無効とすることはできなかったが、原告の先使用権が認められて、特許権侵害が存在しないことが確認され、かつ差止請求と損害賠償請求が認められた。
均等論及び特許無効による権利濫用: 依頼者は屋根材の製造販売を行う業者であり、屋根板の構造に関する特許権の侵害で訴えを起こされた。依頼者は文言侵害を否認したが、原告は均等論の適用を主張した。依頼者は、さらに特許の無効を理由とする権利濫用の抗弁を主張した(本件は、キルビー事件最高裁判決の後であるが、特許法104条の3制定前の事件である)。裁判所は、明らかに無効理由が存在すると判示し、かつ均等論の適用を否定して、原告の請求を棄却した。
職務発明: 依頼者は日本の半導体製造会社の関連会社(被告)であり、依頼者の従業員であった原告は,その在職中にした職務発明つき,特許法35条3項(平成16年法律第79号による改正前)に基づいて,特許を受ける権利を使用者である被告に承継したことに対する「相当な対価」の支払を求めた。争点は原告の貢献度。裁判所は原告の請求額のうち約5%のみを認めた。