弁理士を志した理由を教えてください。
私は大学院の修士課程修了後に新卒で化学メーカーに入社したのですが、恥ずかしながら、その時点では弁理士という資格についてはよく知りませんでした。分析化学の研究室出身でしたので、研究所で分析系の仕事をするのかなあとぼんやりと考えていました。ですが、入社後の配属希望調査で「知的財産部」という部署があることを知り、興味を惹かれました。いっそのこと、研究から離れてみるのも面白いかもしれないと思ったのです。枠は少なかったのですが、希望を出してみたらあっさりと通りましたので、知財部の新人として社会人生活が始まりました。入ってみると、若い同僚の中に弁理士の方や試験勉強中の方が複数いらっしゃることがわかりました。その姿がとても格好良く見えたのと、どうせやるのであればプロになってやろうという気持ちもありましたので、私も弁理士を目指すことを決めました。
入所・転職理由は何ですか?
前職の化学メーカー知財部での仕事は学びが多く、素晴らしい同僚にも恵まれ、とても良い環境でした。一方で、会社という枠を離れ、知財の世界に放り出されたときに一弁理士としてどれほど通用するのか、言わば「力試し」をしてみたい気持ちが膨れ上がり、飛び出してみることにしました。そうなると、どこの事務所に所属させて頂くのかが問題となります。同じ弁理士といっても、事務所によって業務内容は様々です。ゾンデルホフ&アインゼルは国内外に多様なクライアントを持っていますので、実務面/営業面に関わらず幅広い仕事ができるところが入所の決め手でした。
現在の業務分野・担当案件はどのようなものですか?またその担当分野の魅力を教えてください。
化学系の弁理士として所属しておりますが、化学に限らず機械系(構造系)の案件も担当しております。割合はおそらく半々くらいです。国内、内外(国内クライアント様の外国案件)および外内(海外クライアント様の案件)についても満遍なく担当しております。どの分野も、基本的には出願から権利化まで一貫して担当します。また、最近は異議申立を担当することも増えております。これらの仕事にはそれぞれ異なる魅力があります。どれも技術を扱いますので、日々、知的好奇心がくすぐられることが共通して言える魅力だと思います。また、どのように書けば、またどのように話せば、相手(クライアント様、特許庁の審査官や審判官など)に響くのか、ということを常に考えて仕事をするのですが、それが上手くいって良い結果に繋がると爽快な気分になります。
入所してよかった点を教えてください。
入所時の思惑通り、幅広い仕事を担当することができております。正直、入所前には「怖い人が多いのでは?」と身構えていたのですが(なんせ事務所名がカタカナです)、実際のところは気さくな方ばかりで、いつも助けていただいています。働き方について、我が家はフルタイム共働き夫婦で小さな子供2人を育てており、1日のうちに仕事に充てられる時間は限られているのですが、いち早くリモートワークが導入されるなど、柔軟な働き方への理解もあり大変助かっております。
弁理士としてのスキルアップは仕事を通してどのようにできていますか?
実務面では、このように幅広く担当させていただいておりますので、仕事を通して否応なしに鍛えられていきます。足りないと感じる部分は、書籍を購入して日々勉強しています。また、弁理士としての競争力を高めるためには、出願権利化等の実務外のスキルも重要と考えております。その点、対外的な記事の執筆や、海外クライアント様への営業活動など、様々なチャンスがありますので、良い環境だと思います。
今後の目標について教えてください。
「ぜひ、この人にやってもらいたい」と思っていただける、自分の「ファン」となるクライアント様を国内外に増やしていければと考えています。そのためには、実務面やその他のスキルアップももちろんですが、人間としての器を大きくしていく必要があります。全ての知財業務は人と人とのコミュニケーションを基本とするものだと思います。最近はSNS等を通じて知財業界の様々な方と交流する機会が増えておりますが、人と会うたびに、自分はまだまだ未熟だと痛感します。最近のAIツールの性能の向上は驚異的であり、私もいくつか触っていますが、既に弁理士の仕事の一部を代替できるレベルに達していると感じます。そのような状況で、選ばれる弁理士とは何か、ということを常に考えていかねばと思います。