法務:(5月14日追記版)「対内直接投資についての改正外為法の施行日案とパブコメ結果をふまえた政令案等の修正」

法務:(5月14日追記版)「対内直接投資についての改正外為法の施行日案とパブコメ結果をふまえた政令案等の修正」

Newsletter (2020年4月) │ 法務

「対内直接投資についての改正外為法の施行日案とパブコメ結果をふまえた政令案等の修正」についての法務ニュースレターをお送りします。2019年11月成立の改正外為法(外国為替及び外国貿易法)に関して公表された政省令案、告示案の内容については、2020年3月27日付の当事務所ニュースレター(こちら)で解説していますが、その後、改正外為法の政省令案、告示案については、4月12日までパブリックコメント(「パブコメ」)の期間が設けられました。このニュースレターでは、パブコメの結果を踏まえた政省令案の修正など、その後、2020年4月30日までの動きについてご説明いたします。(5月14日追記:下記8.にその後の動きを追記しています。)

 

1.      施行日・適用日の確定

2020年4月24日に、対内直接投資等に関する政令等の一部を改正する政令が閣議決定されました[1]。また、同日に、財務省より「外国為替及び外国貿易法の関連政省令・告示改正について」と題する資料(「財務省説明資料」)が公表され、これによると、2020年4月30日に、政省令および告示を公布し、5月8日(「施行日」)に改正法、政省令、告示が施行となり、施行日から30日を経過した日である2020年6月7日(「適用日」)に、改正法、政省令及び告示が適用されるとのスケジュールが明らかにされ、4月30日には、このとおり、改正外為法の施行日を定める政令ならびに上記の政省令および告示が公布されています(令和2年4月30日官報号外第90号)。

なお、3月の時点では、政令の閣議決定と同時に、銘柄リストも公表する予定とされていましたが、銘柄リストは閣議決定時には公表されず、財務省説明資料によると、銘柄リストの公表は施行日に行うとされています。

 

2.      経過措置

いつから改正法に対応した事前届出をおこなう必要があるのかについて、適用日以後に予定する1%以上の株式取得に関する事前届出は、施行日から適用日の間におこなうことが可能とされています。すなわち、6月7日以後に株式取得を予定している場合、5月8日から改正法に従った事前届出の提出が可能となります。

6月6日までに株式取得を予定している場合には、改正前の現行法のもとでの届出対象または事後報告対象の株式取得について、届出または事後報告すればよいことになります。

 

3.      (密接)関係者に関する変更

改正法では、上場会社株式の取得に加えて、外国投資家自らまたはその「関係者」が役員に就任することについて、株主総会において同意することも、届出の対象になりました。関係者の定義は、外国投資家自らが提案する場合には、その役員、使用人、主要な取引先が含まれ、他者(発行会社を含む)が提案する場合には、その役員が含まれるが、使用人や主要な取引先は含まれないとされ、提案者が誰かによって、関係者の定義に定性的な差異を設けていたところです(下表参照)。

この定性的な差異の一環として、パブコメの結果を踏まえて、外国投資家自らが提案する場合には、過去1年以内に役員、使用人、主要な取引先であった者も「関係者」に含まれるが、他者(発行会社を含む)が提案する場合には、過去1年以内に役員であった者は「関係者」に含まれないと省令案が修正されました。

財務省「パブリックコメントを踏まえた変更点について(4月24日)」

 

4.      「非公開の技術関連情報へのアクセス」に関する変更

届出免除の基準のひとつである「非公開の技術関連情報にアクセスしない」の「非公開の技術関連情報にアクセス」とは、(a)秘密記述関連情報であることを知りながら、当該情報を取得すること(発行会社などからの自主的提供を除く)、(b)秘密記述関連情報であることを知りながら、当該情報を開示することの提案、(c)秘密記述関連情報の管理にかかる規程、契約等の変更の提案を意味します(当事務所3月27日付ニュースレターQ13)。

 

上記について、パブコメをうけて、証券会社や銀行のM&A助言部門による非公開の技術関連情報へのアクセスについて、例外が定められました。すなわち、上記のうち、(a)および(b)について、①情報が株式売買部門に提供されないこと、②株式売買部門が保有している株式等を通じた影響力を遮断すること、の二点を担保する措置が講じられている場合には、「非公開の技術関連情報にアクセス」の定義には該当しないとの修正が告示案に加えられました。

 

5.      届出は6か月間の取得に利用可能

従前の案では上場株式の1%以上の取得の都度、事前届出が必要とされていたところを、修正案では、事前届出が審査を通過すれば、外国投資家は、届出日から6か月間、届け出た予定の数までは株式を随時取得することができ、取得の都度届出をおこなうことは不要とされています。6か月間に取得予定の株式数を記載した届出(および審査)の効力を6か月間有効とし、その間の取得ごとの届出を不要とすることにより、改正法への対応に必要な(社内)システム変更のための期間が確保できるものとされています。

どの程度の認識をもって「取得する予定」と記載することができるのか、また、より多くの取得予定数を記載することによる審査への影響やステークホルダーへの影響などをも考慮して、利用の是非を検討すべきと考えられます。

 

6.      株式取得時の事前届出及び事後報告の負担軽減

(1)事前届出

5.で述べたように、事前届出が審査を通過すれば、外国投資家は、届出日から6か月間、届け出た予定の数までは随時株式を取得することができ、取得の都度届出をおこなうことは不要とされました。また、株式取得後の事後報告は、現行法では取引実行から30日以内にすることが求められていましたが、45日以内へと提出期限が延長されました。

(2)事後報告

免除の制度を利用した場合、事前届出は不要となりますが、事後報告は取得の都度行うのではなく、取得割合が以下の各閾値になった場合に必要とされています。

(i)   はじめて1%以上となる時点

(ii)   はじめて3%以上となる時点

(iii)  10%以上の株式取得については、取得の都度

なお、(i)(ii)において「はじめて」とあるのは、(i)(ii)を充足した後に株式売却などで閾値を下回ったが、再度閾値を超えた場合を除外する趣旨です。

 

その他、免除利用時の事後報告と指定業種以外の業種における事後報告では、事業所管大臣を特定することは不要とするよう省令の様式が簡素化され、一定の事務の軽減が企図されています。

 

7.      その他の変更、パブコメの結果その他

上記のとおり、改正外為法の政省令案、告示案については、4月12日までパブコメの期間が設けられました。業界団体等から相当数のコメントが提出されたものと思われますが、現時点では、提出されたすべての意見に対する包括的な回答の報告は公表されていません。政省令案、告示案からの変更点は、上記の点に限られ、それ以外に案からの変更を示唆するものはありません。(5月1日追記:その後パブコメの結果も公表されています[2]。)

 

なお、事前届出での財務省及び事業所管省庁が審査に際して考慮する要素の案については、4月4日から5月3日までパブコメ募集が継続しています。

 

8.        今後の展開

施行日および適用日が確定し、改正法に従った運用開始のスケジュールが明らかになりました。当事務所の3月27日付ニュースレター(こちら)で述べたように、外国投資家に該当する可能性のある投資家や企業としては、改正法に従って、6月7日以降の株式の取得や、ポートフォリオへの役員選任対応、議決権対応について迅速な動きが可能になるよう、社内の外為法届出事務の体制・社外の相談体制を準備することが必要となります。また、銘柄リストは5月8日まで公表されませんが、指定業種に該当し、銘柄リストに記載される可能性の高いと考える日本企業は、銘柄リストの公表後速やかに、届出書記載事項に関する外国投資家からの照会にタイムリーに対応できるよう、体制を整えておくことが必要になります。(5月14日追記: 施行日の5月8日には、銘柄リストおよび上記7.の事前届出の審査に際して考慮する要素が公表されています。また、指定業種に医薬品等、高度管理医療機器製造業を追加する告示案が、5月1日から30日までパブリックコメントに付されています。)

 

(2020年4月30日公開、5月1日追記、5月14日追記)

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本書において提供する情報は、あくまで一般的な情報として提供されるものであり、具体的な専門的アドバイスを提供するものではありません。また、本文中の意見にわたる部分は執筆担当者の個人的な見解にすぎず、事務所としての法律意見またはlegal opinionを構成するものでもありません。具体的な事案に関するご相談には個別に対応いたしますので、改めて執筆担当の弁護士渡辺 直樹まで、お問い合わせください。

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