Newsletter (2021年7月) │ 知財
2020年6月23日、ドイツ憲法裁判所に提起されていた欧州統一特許条約(UPC)をドイツで批准するための法律が法治主義及びEU法に反し、さらには有効な法的保護を受ける基本的権利が侵害されているなどを理由として仮の命令を求めた憲法訴願2件に対する判断がなされ、何れも請求を認めない決定がなされた(2 BvR 2216/20, 2BvR 2217/20)。
欧州特許庁(EPO)が付与することになっている欧州単一特許(UP)について規定する欧州単一特許規則については、欧州統一特許条約(UPC)と同時に施行されることが法律上規定されている(欧州単一特許規則第18条(2))。欧州統一特許条約(UPC) はEU諸国にのみ加盟が認めらえている条約であり、本条約は最低13か国によって批准がなされ、その中にドイツ、フランス、イタリアが含まれていることが条約の効力が生じる要件とされている(欧州統一特許裁判所条約第89条(1))。このように、欧州統一特許条約(UPC)の効力が生じない限り、欧州単一特許(UP)の取得も可能にならず、両制度はリンクされている。両制度が一つのパッケージを形成することはある意味当然であり、欧州単一特許(UP)が存在しない限り、当該特許についての特許侵害訴訟や特許無効訴訟も起こりえないからである。欧州統一特許条約の効力が生じるための要件としてまだ満たされていないのはドイツによる条約の批准のみで、ドイツ憲法裁判所の本決定により、制度の導入が一気に加速することが期待される。具体的な日程は未定だが、2022年度中には欧州単一特許の取得が可能になることも夢ではないかもしれない。
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